「このまま痛みが続くのだろうか」
「いつになったら仕事に戻れるのだろう」
「首の痛みが引かないのは、何か悪いことが起きているせいでは……」
事故から数日たって首の痛みや違和感が強まってくると、こうした不安を感じることがあります。むち打ちは、外から見える傷がなくても首の内側で筋肉やすじが傷ついている状態です。表面に出てこないぶん見過ごされやすく、いつまで続くのか分からないことが、痛みそのもの以上に人を不安にさせます。
今回は、むち打ちの治療期間の目安と、痛みが長引く原因、そして回復のために今日からできることについて、順を追って解説します。
むち打ちはどれくらいで治る?
骨折や脱臼を伴わないむち打ち(医学的には「外傷性頚部症候群」と呼ばれる、首の捻挫のような状態)の治療期間は、症状の程度によって次のとおり異なります。
軽度のむち打ち(数日〜1‐2か月ほど)
痛みが軽く、首を動かせる範囲もほぼ普段どおりというケースです。日常生活への影響が少なく、比較的早い段階で仕事や家事に戻れる場合がほとんどです。
中等度のむち打ち(3〜6か月ほど)
首を動かすたびに強い違和感が残り、仕事や家事に支障が出ることもあります。施術とリハビリを並行して続けることが必要です。
重度のむち打ち(6か月以上かかることも)
しびれ、めまい、頭痛といった神経の症状を伴う場合は、長期的な治療と経過観察が必要になります。焦って通院をやめると、かえって長引く原因になりやすいので、経過を見ながらじっくり向き合うことが大切です。手や腕に力が入りにくい、症状が日に日に強くなっているといった場合は、自己判断で様子を見ず早めに受診してください。
「そもそも自分はむち打ちなのかどうかもわからない」「これくらいで受診していいのかな」と迷っているうちに、時間だけが過ぎてしまうことがあります。事故の直後は痛みがなくても、数日経ってから痛みが出てくることは珍しくありません。厄介なのは、そこで慌てて病院に行っても、事故から日数が経っていると痛みと事故との関係を証明しにくくなり、保険の対象として認められにくくなってしまうことです。だからこそ、痛みがない段階でも一度受診しておくことには意味があります。検査で異常がなければそれで安心材料になりますし、「事故直後にきちんと医療機関にかかった」という記録が残ること自体が、後から痛みが出てきたときの備えになります。
なお、これはあくまで目安であり、事故の衝撃の大きさによっても実際の期間は変わってきます。医師が事故の状況や検査結果、症状の経過を踏まえて判断していくものと考えてください。
なぜ痛みが消えない?治療期間が長引く原因
「同じような事故なのに、なぜ自分だけ長引くのだろう」
そう感じることもあるでしょう。痛みが長引く背景には、主に次の3つが考えられます。
原因1:筋肉やすじに残る見えない傷
事故の衝撃を受けた瞬間、体は反射的に首まわりの筋肉に力を入れ、首の骨を守ろうとします。この反応が強く働いた結果、筋肉の一部が部分的に傷ついたり、筋肉を支えるすじ(靭帯)が傷ついたりすることがあります。骨折や脱臼と違い、レントゲンにははっきり映らない傷なので見過ごされがちですが、こうした細かいダメージが痛みの正体だったというケースは珍しくありません。
原因2:安静にしすぎること
「そのうち自然に治るだろう」と様子を見ているだけでは、かえって回復が遅れることがあります。首を動かさず安静にする習慣が長く続いたり、首を固定する装具(頚椎カラー)を必要以上に長く着け続けたりすると、痛みが長引く原因になります。
原因3:ストレスと生活習慣の影響
事故のショックや保険会社とのやり取りが続くストレスで自律神経が乱れると、痛みを強く感じやすくなることもあると言われています。また、デスクワークやスマホ操作で前かがみの姿勢が続くと、回復しかけていた首の筋肉や神経にまた負担がかかってしまいます。
早く治すために今すぐできるアプローチ
早く治すためには、時期によってやるべきことが変わってきます。今がどの時期にあたるかを意識することが、回復への近道です。
急性期(受傷から1〜2日)は安静と冷却を
事故直後から1〜2日ほどは、炎症がもっとも強く出ている時期です。この時期は首を無理に動かさず安静を保ち、痛みのある部分を冷やすと、炎症の広がりを抑えることができます。医師の指示で頚椎カラーなどの装具を使う場合もありますが、これは急性期を乗り切るための一時的な対応です。
痛みが落ち着いてきたら、少しずつ動かす
急性期を過ぎたら、痛みのない範囲で首のストレッチを日常的に取り入れ、1時間に一度は軽く体を動かすようにしましょう。同じ姿勢を長く続けないよう意識するだけでも、首や肩にかかる負担は減らせます。ただし、強い痛みがある時期に自己流でマッサージやストレッチを行うと、かえって症状を悪化させることがあるため、必ず医師の指導のもとで進めてください。
整形外科と接骨院・整骨院、どう使い分ける?
治療先として整形外科のほかに接骨院や整骨院を思い浮かべる方も多いと思いますが、まず基本になるのは整形外科です。レントゲンやMRIによる検査は整形外科でしか受けられず、骨や神経に異常がないかを確認したうえで治療方針を決めることが、回復の土台になります。接骨院や整骨院を利用する場合も、まず整形外科で医師の診断を受けたうえで、併用するようにしてください。
さいごに
むち打ちが何か月で治るか、これという正解はありません。事故の衝撃の大きさや症状の程度によって、数週間で回復することもあれば、半年以上かかることもあります。目安は3〜6か月とされていますが、痛みが引いたからといって治ったとは限りません。安静にしすぎず、かといって自己判断で通院をやめず、その時期に合った対応を続けることが、回復への近道になります。
「この痛み、いつまで続くのだろう」と一人で抱え込まず、まずは当院へお気軽にご相談ください。事故の状況やご自身の症状に合わせて、適切な治療方針をご提案いたします。