糖尿病の治療とは
健康寿命を保つことが治療の目的
糖尿病の治療目的は、糖尿病によって健康寿命を短くしないようにすることです。糖尿病は治療を行わないと、血糖値が適切に保たれず高くなってしまいます。血糖値が高い状態が続くと、腎臓、神経、眼などに支障が現れる合併症を起こす恐れがあるため注意が必要です。健康な状態を保ち生活の質を下げないためにも、適切な治療を行いましょう。
血糖値をコントロールできるようにすることが大切
糖尿病の治療では、血糖値をコントロールして適切に保てるようにします。血糖値をコントロールすることで、次のような3大合併症の発症や悪化を防ぐことができます。
- 糖尿病性神経障害:手足のしびれ、感覚鈍麻
- 糖尿病性網膜症:視力の低下、失明
- 糖尿病性腎症:腎機能の低下、人工透析が必要になる場合もあり
血糖値をコントロールする方法
血糖値をコントロールする方法には、次の3つがあります。
食事療法
血糖値は食べた物によって上がるため、食生活を整えることはとても大切です。食事療法は、医師、栄養士の指導のもと行います。身長・体重、身体活動量、年齢、性別、健康状態などから適したエネルギー量を決め、それに合わせた食事を摂れるようにしていきます。
食事療法を行うときには、次のことに注意しましょう。
- よく噛んでゆっくり食べる
- いろんな栄養素をバランスよく食べる
- 1日3食、規則正しく食べる
- 暴飲、暴食をしない
- 腹八分目を心がける
- 寝る前の食事は控える
正しい食生活を身につけ、習慣にしましょう。
運動療法
適切な運動をすることで、血糖値を下げる働きのあるインスリンの感受性を高め、血糖をコントロールすることができます。運動療法には、有酸素運動と筋力トレーニングがおすすめです。有酸素運動の1つであるウォーキングなら、1回15~20分を1日2回行うことで効果を得ることができます。筋力トレーニングは、体の負荷の少ない初心者向けのものもあるため、自分に合ったものを選ぶことができます。運動療法はやり過ぎると逆効果になることがあるため、医師に相談しながら行いましょう。運動の効果は3日ほどしか続かないので、継続して行うことが大切です。
薬物療法
薬物療法には、経口薬と注射があります。経口薬は、インスリンの分泌を促したり効果を高めたりするもの、摂取した糖の吸収・分解をゆっくりにするものなどがあります。注射は、インスリンの分泌を促したり補ったりするものがあります。注射は経口薬よりも負担があるように感じますが、痛みが少なく簡単に使用できるものも増えています。薬物療法は、定期的に血糖値などの検査を行い、状態に合わせて行います。治療は継続することが大切なので、飲み忘れに注意し、自己判断で治療を中断しないようにしましょう。
血糖値のコントロール以外に気を付けること
適切な体重、血圧、血清脂質を目指す
血糖値が慢性的に高い状態が続くと、脳梗塞、心筋梗塞などの慢性合併症を起こす恐れがあります。それを防ぐためには、体重、血圧、血清脂質を適切に保つことが大切です。体重、血圧、血清脂質は健康状態によって適切な数値が違うため、医師に指導を受けましょう。
合併症を起こさないようにする
糖尿病は合併症を発症する恐れのある病気なので、合併症を起こさないよう注意が必要です。合併症についての知識を身に着け、予防に努めましょう。定期的な検査を受け、早期発見することも大切です。
禁煙する
喫煙すると、血管が固く狭くなり動脈硬化がすすんでしまいます。動脈硬化は慢性合併症である脳梗塞や心筋梗塞になりやすくするため、喫煙は止めましょう。なかなか禁煙できないという方には、禁煙外来がおすすめです。
まとめ
糖尿病は長く付き合っていく病気なので、気長に無理しないことが重要。まずは、血糖値をコントロールする方法を身につけることが大切です。食事療法、運動療法、薬物療法をきちんと行うことで、3大合併症や慢性合併症の悪化を防ぎ、健康寿命を保つことができます。定期的に検査を行い、合併症の早期発見に努めることも大切です。
糖尿病の治療は、継続して行う必要があります。食事療法、運動療法は無理しすぎると続けられなくなるので、できるだけ負担が少なく自分に合った方法を選びましょう。糖尿病の治療は医師の指導のもと行い、自己判断で中断しないようにしてください。