禁煙外来とは
医療機関で受けることができる
禁煙外来では、禁煙を成功させるための治療を行います。治療方法には薬物療法とカウンセリングがあり、専門の禁煙外来はもちろん、内科、婦人科、心療内科などの科でも治療を受けられるようになってきました。
タバコを我慢するにはつらい努力が必要なので、禁煙に挫折した経験のある方も多いことと思います。けれども、禁煙外来なら禁煙の苦痛や負担を軽減することができるため、一人で禁煙するより楽に禁煙することができます。
禁煙外来での禁煙成功率は70~80%といわれているため、禁煙を諦めている方、禁煙に挫折した方にもおすすめの治療方法です。
保険適用が可能になる条件
禁煙治療は、次のような条件を満たしている場合保険適用になります。
- ニコチン依存症と診断された方
- 35歳以上の場合、1日の喫煙本数×喫煙年数が200以上になる方(35歳未満は200以下でもよい)
- すぐに治療したいと希望される方
- 禁煙治療の説明を受け、治療を受けることを文章で同意した方
- 一年以内に保険適用での禁煙治療を受けたことがない方
保険が適用になると1日1箱タバコを吸うよりも治療費の方が安くなるため、保険適用になるかどうか初めに確認しましょう。保険適用にならない場合には自費になりますが、今後タバコにかかる費用を考えると、禁煙治療費の方が安くなる方がほとんどです。
禁煙治療の流れ
禁煙治療は12週間行い、次のように5回の受診が必要になります。
- 受診1回目:治療開始
- 受診2回目:1回目の2週間後
- 受診3回目:2回目の2週間後
- 受診4回目:3回目の4週間後
- 受診5回目:4回目の4週間後、治療終了
医療機関によっては、5回の受診のうち何回かをオンライン診療にできるところもあります。
1回目の受診では、問診、診察、一酸化炭素濃度の測定(呼気に含まれる一酸化炭素の量を調べます)を行い、保険が適用になるか、どの薬が適しているかなどを決定します。
それ以降の受診では、診察、一酸化炭素濃度の測定を行って禁煙状況を確認し、適した薬の処方、カウンセリングを行います。
禁煙治療の内容とは
薬物療法
主な薬物療法には貼り薬(ニコチンパッチ)と飲み薬(チャンピックス)があり、患者様に適した方を使用して治療を行います。
ニコチンパッチ(貼り薬)
ニコチンの含まれた貼り薬を、皮膚に貼って治療します。皮膚からニコチンを吸収することで、禁煙開始時に起こる離脱症状(タバコが吸いたいという強い欲求やイライラ)を軽減して禁煙を成功させます。禁煙治療を進めるごとに貼り薬に含まれるニコチンの量を減らしていき、治療終了時にはニコチンパッチが不要になるようにします。
メリット
離脱症状が軽減することで、禁煙の成功率を上げることができます。また、チャンピックスに比べて眠気や吐き気などの副作用が少なく、費用が安くなるというメリットもあります。
デメリット
皮膚がかぶれる恐れがあります。禁煙の成功率はチャンピックスよりも低いといわれています。
チャンピックス(飲み薬)
ニコチンを含まない飲み薬です。チャンピックスはニコチン受容体と結合し、タバコから吸収されたニコチンがニコチン受容体と結合するのを防ぐ働きをもっています。そのため禁煙開始の1週間前から飲み始めることで、タバコを吸ってもおいしくないし満足できないと脳に覚えさせることができます。また少量のドーパミンを分泌する働きもあるため、禁煙による離脱症状を軽減する効果も期待できます。チャンピックスは少量から飲み始めて最初の1週間で量を増やし、12週間内服します。
メリット
ニコチンパッチよりも禁煙の成功率が高いところが魅力です。飲み薬なので、皮膚が弱くかぶれやすい方でも問題なく使用できます。
デメリット
眠気、吐き気などの副作用が起こる恐れがあります。また、ニコチンパッチよりも費用がかかります。
心理療法
禁煙治療では、薬物療法だけでなく心理療法も合わせて行います。「タバコを吸いたい欲求に負けそうになる」「タバコを吸う習慣をどうやって変えればいいのかわからない」など、禁煙による変化に悩んでいる患者様に対して、医師や看護師がカウンセリングを行います。
カウンセリングでは、タバコを吸いたくなったときにどう対処すればいいか、タバコへの欲求が起こるのを避ける方法などを、患者様の性格や生活習慣に合わせて具体的にアドバイスし、タバコに依存する患者様が禁煙を成功できるようにケアします。
さいごに
自分と周りの人の健康を守るためには、できるだけ早く禁煙することが大切です。まずは、インターネットなどで禁煙治療を実施している医療機関を探してみましょう。禁煙外来は予約制の施設が多いので、あらかじめ電話などで予約をとっておくことをおすすめします。一人では難しい禁煙も、禁煙外来を利用することで70~80%の方が禁煙に成功しています。禁煙を諦めているという方も、是非禁煙外来に相談してみてください。