骨粗鬆症の治療法には何がある?薬や運動、栄養の面で詳しく解説

骨量が減少し、骨がもろくなってしまう「骨粗鬆症」。
特に高齢者に発症しやすく、骨の強度が低下することで骨折を起こすリスクが高くなっています。

年齢を重ねるごとに徐々に進行することが考えられるため、なるべく早めに治療を始めることが重要です。
こちらのページでは、骨粗鬆症の治療法を薬、運動、栄養の面で、わかりやすくまとめてあります。

骨粗鬆症の治療に疑問や不安をお持ちの方は、ぜひご参照ください。

薬を使った治療

医療機関から処方される薬で、骨粗鬆症の治療が可能です。
薬には、主に「骨吸収(骨を壊す働き)を抑制する」「骨形成を促進する」「吸収と形成を調節する」の3つの作用が期待できます。

例えば、以下のような薬が骨粗鬆症の治療として用いられています。

  • 骨吸収を抑える:カルシトニン薬、女性ホルモン薬、ビスホスホネート薬など
  • 骨形成を促進する:ビタミンK2薬、副甲状腺ホルモン薬など
  • 吸収と形成を調節する:カルシウム剤、活性型ビタミンD3など

患者さんごとに症状や検査結果などに応じて使い分けてください。
また、薬の回数や飲むタイミングなど使用方法は、必ず医師や薬剤師の指示に従うようにしましょう。

運動による治療

骨を形成する「骨芽(こつが)細胞」は、運動による刺激で活性化します。
特に骨の長軸方向(縦方向)への刺激が、骨形成に有効といわれています。

また、運動によって体幹や足腰の筋力を鍛えたり、バランス能力を維持・向上させたりすることで、転倒しにくい体作りが可能となるでしょう。

どなたでも手軽に始められる運動には、ウォーキングが挙げられます。
ウォーキングでは、転倒時に骨折を起こしやすい大腿骨(太ももの骨)にも、しっかりと負荷をかけられます。

「エスカレーターではなく、なるべく階段を利用する」「一駅分歩くようにする」といったように、普段の生活の中にこまめな運動を取り入れるのもおすすめです。

その他、「うつ伏せの状態から腕を支点にして上半身を起こし、腰を反らせるストレッチ(腰椎への刺激)」や、「バランス感覚を鍛えるための片足立ちトレーニング」なども骨量の増加や転倒防止の運動に有効です。
※バランストレーニングでは壁や机に手をついて、転倒に十分ご注意ください。
運動は基本的に、無理なく続けられる内容・強度であることが大事です。
もし、膝・腰の痛みといった不調や不安がある場合は、医師に相談するようにしましょう。

食事による治療

骨や筋肉を作るのには、食事から十分な栄養を摂ることが重要です。
骨粗鬆症の改善・予防には、骨の主成分である「カルシウム」を意識的に摂取しましょう。
成人の場合、カルシウムの1日の必要量は「650〜800mg(牛乳コップ3杯分)」といわれています。
また他にも、骨の中で鉄骨のような役割を果たす「コラーゲン(たんぱく質)」やカルシウムの吸収を補助する「ビタミンD」、骨の吸収を抑える「ビタミンK」、カルシウムと一緒に骨の形成を助ける「ミネラル(マグネシウム)」などと、バランスよく食べることが大事です。

各々の栄養素は、例えば以下のような食品に多く含まれています。

  • カルシウム:牛乳、乳製品、小魚、大豆、大豆製品など
  • たんぱく質:肉、魚、卵、大豆など
  • ビタミンD:鮭、サバ、うなぎ、きのこ類など
  • ビタミンK:小松菜、モロヘイヤ、納豆など
  • マグネシウム:アーモンド、ひじき、玄米など

紫外線を浴びることでも、体内にビタミンDが生成されることが分かっています。
そのため、冬場で30分〜1時間程度、夏場では日陰で30分程度の日光浴を行うことをおすすめしています。

さいごに

骨粗鬆症の治療、とくに運動療法や食事療法は継続することが重要になります。
効果が出るまでには、年単位の長期の治療が必要なのです。

毎日無理なく続けられる運動や食事のメニューは、できれば医師や管理栄養士、作業療法士など各分野の専門家の意見を取り入れるようにしましょう。
頑張り過ぎずにコツコツ骨粗鬆症の治療を継続することが、健康寿命の延伸にもつながっていきます。