糖尿病の方が知っておきたい膀胱炎のリスクと予防法

  • 2025年12月9日
  • 2025年12月9日
  • 糖尿病

糖尿病を抱えている方にとって、膀胱炎は身近なリスクの一つです。健康な方と比べて発症しやすく、また重症化しやすい傾向があるためです。

なぜ糖尿病の方は膀胱炎になりやすいのか、どのような症状に注意すべきかを理解し、予防や早期対応できるようポイントをつかみましょう。

糖尿病患者は膀胱炎になりやすい?

糖尿病の方は、そうでない方に比べて膀胱炎になりやすいと言われています。

考えられる主な原因は以下の3つです。

①尿中の糖が細菌の栄養になる

血糖値が高いと尿にも糖が排出されます。この糖が細菌の栄養源(エサ)となり、膀胱内で菌が増殖しやすい環境を作りだしてしまうと考えられています。

②免疫力が低下しやすい

高血糖の状態が続くと、白血球の働きが鈍くなります。細菌への抵抗力が落ちるため、侵入した菌を退治しきれず、感染しやすくなります。

③神経障害による残尿が生じやすい

糖尿病の合併症で神経に障害が出ると、尿意を感じにくくなったり、尿を出し切れずに膀胱に残ったり(残尿)しやすくなります。残尿は細菌が繁殖する格好の場となるため、膀胱炎を発症する要因となり得ます。

このように、糖尿病の方はいくつかの要因が重なることで膀胱炎の発症リスクが高まるため、予防が欠かせません。

特に注意すべき気腫性膀胱炎

糖尿病や免疫力の低下がある方に起こりやすい感染症として知られているのが、気腫性膀胱炎(きしゅせいぼうこうえん)です。気腫性膀胱炎は通常の膀胱炎と異なり、膀胱の壁や周囲の組織にガスが発生するという特徴があります。

原因は、大腸菌をはじめとしたガス産生菌です。こうした細菌が膀胱内で増殖すると、代謝の過程でガスが発生し、膀胱の壁に溜まっていきます。ガスの影響で組織が傷つくと、細胞が壊死したり、膀胱に穴が開いたり(穿孔:せんこう)することもあり、命に関わる状態に進行する恐れがあります。

気腫性膀胱炎の症状は、以下のとおりです。

  • 下腹部痛
  • 発熱
  • 血尿
  • 排尿時痛

ただし、糖尿病の神経障害がある場合は痛みを感じにくく、気づくのが遅れやすい点が課題です。診断にはCT検査が有効で、膀胱壁や周囲にガス像が見えることで確定します。

治療は尿道留置カテーテルによる体外への尿排出や抗菌薬の投与が中心ですが、症状が進んでいる場合は外科的な処置が必要になることもあります。

予防と早期対応がカギ

膀胱炎を防ぐためには、日常生活でいくつかのポイントを意識することが重要です。特に糖尿病のある方は感染が進行しやすいため、予防の視点がより大切となります。

糖尿病の方が膀胱炎予防で意識したいポイントは、次の4つです。

①血糖コントロール

血糖値が安定していると免疫機能が維持され、神経障害の進行予防にもつながります。定期的な受診や服薬、食事療法や運動療法を継続しましょう。

②こまめな水分補給

十分な水分をとることで尿量が確保され、細菌を洗い流しやすくなります。心臓や腎臓に持病がある場合は、適切な水分量について主治医の判断を仰ぐと安心です。

③排尿を我慢しないこと

尿意を感じたら早めにトイレに行き、膀胱に尿を長時間ためないようにしましょう。排尿後は残尿が残らないよう、時間をかけてしっかり排出することが感染予防につながります。

④陰部を適度に清潔に保つこと

入浴やシャワーで陰部を清潔に保つことは、膀胱炎予防の基本です。ただし、洗いすぎは粘膜を傷つけ、かえってトラブルの原因となることがあります。特に女性は、トイレ後に前から後ろへ拭くことで、肛門付近の細菌が尿道へ入り込みにくくなり、膀胱炎の予防につながります。

普段と違う尿のにおいや色、排尿時の違和感などの小さな変化にも注意が必要です。糖尿病の方は感染が進みやすいため、早期に状況を確認することで重症化を防ぎやすくなります。

さいごに

糖尿病患者にとって、膀胱炎は決して軽視できない合併症の一つです。感染が腎臓におよんで腎盂腎炎を引き起こしたり、さらには敗血症という命に関わる状態に進行したりするリスクがあります。特に高齢者や血糖コントロールが不良な方では、このようなリスクが高まります。

しかし、適切な予防と早期発見・早期治療により、これらのリスクは減らすことが可能です。日々の血糖管理を基本としながら、水分補給や排尿習慣、清潔の維持など、できることから実践していきましょう。

少しでも気になる症状があれば、遠慮なく医療機関を受診してください。